霞の杜幻影展示場

Crystallist

Story Digest6

 戦意高揚するレジスタンスのムードとは裏腹に、フォーライツ家の人々の心は晴れなかった。

 なんでもない素振りで気丈にリーダーの責務を果たすリカルドを、ミナルリックの罠が誘いかける──シェルリーゼに服従を誓えば、生死の理を用いて失われた親友・父母・家人を蘇らせる術を教えてやろう、と。

 リカルドは人知れず連夜与えられる夢の誘いに苦しみ、ついには深い眠りの底へと沈んでしまう。

 

 目覚めぬ軍主をトクサが診ても、薬では治せぬことがわかるばかり。

 項垂れる仲間達に、ルードは更深の理であれば悪夢を斬り祓う力を秘めている筈と伝える。

 更深の理──それはミナルリックとの決着をつけるべく、長年ランスが捜し求めてきた晦瞑の剣の本質だった。

 

 ヒバリンの族長らの協力を得、どうにか晦瞑剣を入手した一同は、その力でもってリカルドの囚われる世界へと侵入する。

 そこは、マイクの記憶の世界だった。

 

 マイクの思い出の世界に迷い込んだリカルドは、彼が理を得る以前の記憶にまでもぐりこんでしまった。

 小さな村での穏やかな暮らし。

 幼いマイクが過ごしてきたのは質素で平凡な日々の繰り返し。

 己が異分子である事を悟りつつ、リカルドはそこから離れる事ができないでいた。

 何かがおかしいと彼が気付いたのは、その中での数日が経過して後。

 皆が楽しみにしている週末が、近づいては遠ざかり、一向に訪れる気配がないこと。

 時間の綻びのいくつかを見つけたリカルドは、マイクにそれを指摘する事でループを終わらせる──その先にあるのは、運命の日。

 

 グリフォンの大群と女理術師に襲われた村は瞬く間に破壊しつくされ、逃げ惑う村人や家畜をシュタイフが容赦なく斬り捨てる。

 村の奥に祭られていたクリスタルを幼いマイクに、幼いマイクをリカルドにそれぞれ托し、村長は囮となってシェルリーゼへと戦いを挑む。

 脱出を試みる二人の行く手を阻むのはシュタイフ。

 

 その時、晦瞑剣の力によって、ランス達がリカルドの前に現れる。

 協力してシュタイフを撃退し、村を離れた一行。

 ずっとマイクが抱えるようにしていたクリスタルが突然光を放ち、幼いマイクの左手にと吸い込まれる。

 

 生死の理がマイクに宿される瞬間に立ち会った一行を、晦瞑剣が急がせる。

 これ以上ここに留まっては、助けに来た彼らまでがこの空間に絡め取られてしまうと。

 後ろ髪を引かれながら、これは既に終わっている出来事だと無理に自分達を納得させ、一行はリカルドを連れて現実世界へと舞い戻る。

夢の中での誘惑は定番。
2022/10/15 up
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